この記事では、マーケティング用語である「ペルソナ」とは何かについて紹介します。ペルソナとは、サービスや商品を利用、購入する架空の人物像のことです。具体的な顧客を想定して設定する必要があり、情報収集や分析が必要になります。ここで紹介する、ペルソナの概要や設定する意味、設定方法などを読んで、マーケティングの参考にしてください。
ペルソナとは?
ペルソナとは、商品を購入するであろう架空の見込み客のことです。マーケティングで活用される概念で、年齢や性別、住所など、リアルな顧客情報をもとに作成されます。同様な目的で活用されるターゲティングより、さらに細かい概念です。実際に商品を購入したユーザー情報などをもとに、理想的な顧客像として設定されます。
ペルソナを設定する理由
ペルソナを設定する理由は、多様化した顧客ニーズに対応するためです。かつてはテレビや新聞など情報源が限られていました。しかし現在は、ユーザー自身で情報を取得でき、それぞれのニーズも細分化しています。そのため商品を提供する側も、より細かなターゲティングとして、ペルソナの設定が必要になりました。
ペルソナの設定は、サービス提供側にもメリットがあります。見込み客を想定することで、チーム全体の認識が共通化し、戦略を立てやすくなるためです。メリットの詳細は、後述します。
ペルソナはいつ作る?
ペルソナは、マーケティング戦略の策定前に作ります。戦略の策定には具体的な顧客像が必要だからです。たとえばカスタマージャーニーマップは、ペルソナをもとに顧客の購買プロセスを可視化します。ペルソナなしでは、正確なマップを作成できません。
ペルソナとターゲットの違い
ペルソナとターゲットの違いは、人物設定の詳細度です。たとえばターゲットは、「40代のIT企業で働く男性サラリーマン」というように、年代や職種などでざっくりと顧客を分類します。一方ペルソナは、「嫁、長女、長男の4人家族。休日は子供と遊ぶのが好き。・・・」というように、性格や価値観なども考慮するのが特徴です。
ペルソナを作成するメリット
ペルソナを作成すると、どのような恩恵を得られるのでしょうか。具体的なメリットを以下で解説します。
顧客に対する具体的なイメージを担当者間で持つことが出来る
ペルソナを作成すると、見込み顧客のイメージを担当者間で共有できます。担当者全員がひとつの目的に沿って行動するため、効率的に商品開発などを進められるでしょう。作業が円滑に進むことで、無駄な工程が発生せず、コスト削減にも繋がります。
顧客目線でのサービス・商品の開発
ペルソナは、商品・サービスを購入してくれる理想的な顧客像です。そのため、それに沿って開発されたものも、理想的な商品・サービスとなります。ペルソナを作成すると、顧客の求めているものを効率よく提供できるのです。顧客目線の商品・サービスが増えれば、おのずと売上も向上します。
商品の訴求力を高めることができる
ペルソナに沿って開発された商品は、見込み顧客の購買意欲をダイレクトに刺激します。顧客のみに焦点を絞ったサービスが、集約されているためです。大まかな顧客像を設定したときと比べ、直接魅力が伝わりやすくなっています。見込み客を「こんな感じの人たち」ではなく「この人」と限定することで、商品の訴求力を高めているのです。
ペルソナの例
ペルソナは、どのように作成すれば良いのでしょうか。具体的な例を紹介します。
どのような要素が必要になるか
ペルソナの作成に必要な要素は、以下のようなものです。
- 年齢
- 性別
- 職業
- 役職
- 年収
- 学歴
- 住所
- 家族構成
- 持ち家の有無
- 生活パターン
- 趣味
- 頑張っていること
- 大切にしていること
- 利用しているデバイス
- 利用しているSNS
要素を書き出す際は、身近な人間の生活を具体的にイメージするのがおすすめです。ここに書かれていないものでも、ペルソナ作成中に思いついた要素は追加しましょう。
(作成例)
上記要素をもとに作成したペルソナを、表にまとめました。
氏名 | 加藤三郎 |
---|---|
年齢 | 40歳 |
性別 | 男性 |
職業 | プログラマー |
役職 | 課長 |
年収 | 600万円 |
学歴 | 東京大学 |
住所 | 東京都練馬区 |
家族構成 | 妻、長女、長男、次男 |
持ち家の有無 | あり(ローン支払い中) |
生活パターン | 6時起床、7時朝食、9時出社、19時退社、12時就寝 |
趣味 | スポーツ鑑賞(インドア派) |
頑張っていること | 仕事(部長になるためにマネジメントの勉強をしている) |
大切にしていること | 家族との時間 |
利用しているデバイス | iPhone |
利用しているSNS | twitter、Facebook |
このように要素に分けると、より詳しい人物像が浮かび上がります。これに沿って開発を行うと、顧客目線にたった商品ができあがるわけです。
ペルソナの設定手順
正確なペルソナを作成するには、いくつか手順を踏む必要があります。具体的な設定方法を紹介しますので参考にしてください。
仮のペルソナを設定する
まずは、商品・サービスを購入してくれそうなペルソナを、想像の範囲内で設定します。実際に購買に至った顧客を参考にすると良いでしょう。悩みや性格などを書き出して、顧客ニーズを明確にするのがポイントです。仮のペルソナを設定したら、順を追って精度を高めていきます。
仮で設定したペルソナの調査・分析を行う
仮で設定したペルソナを調査・分析し、具体的な人物像をイメージします。「なぜ商品サービスに興味を持ったのか」「どんな悩みがあるのか」など、具体的な顧客情報を書き出しましょう。書き出した情報をもとに、具体的なペルソナを設定します。
より具体的なペルソナの設定をする
調査・分析の結果、詳細な顧客像が出来上がっているはずです。それをもとに、具体的なペルソナを作成しましょう。上記で紹介した要素をもとに、人物像を書き出すのがおすすめです。CVに至るストーリを想定すると、より流れを意識できます。体型や表情までイメージできたら、尚良いでしょう。
ペルソナの分析方法
ペルソナは、どのように分析すれば精度が上がるのでしょうか。具体的な方法を紹介します。
意見を直接聞く
アンケートやインタビューなどで、顧客から直接ニーズを聞き出すのが有効です。顧客の生の声を収集することで、具体的な悩みや性格などがイメージしやすくなります。顧客との接触機会が多い営業担当者への聞き取りもおすすめです。仕事を通して感じたことを、漏れなく教えてもらいましょう。
既存のデータを利用する
分析には、社内や企業、公的機関が集計したデータを参考にするのがおすすめです。インターネット上には、無料で信頼できるデータを参照できます。特に国が発信するデータは、公共性があり説得力も抜群です。国家を挙げて調査した内容が見られるため、ペルソナの作成にも役立つでしょう。
ペルソナを作成する際の注意点
ペルソナを作成する際は、どのような点に気を付ければ良いのでしょうか。具体的な注意点を紹介します。
複雑だったり、粗い人物像にならないようにする
ペルソナは、細かすぎても、大雑把すぎても機能しません。細かすぎると設定を把握しづらくなり、大雑把すぎると人物像が分かりづらくなるためです。作成の際は商品・サービスのジャンル問わず、ピンボケしないような顧客像を設定しましょう。必要な情報のみ残るよう、要素を取捨選択することが大切です。
身近にいると想像出来るような人物像にする
身近にいると思えるような人物像にすることで、よりリアルなペルソナを描けたことになります。現実とかけ離れた人物像を設定しても、商品・サービスはまったく売れません。担当者全員と、人物像を共有することもできないでしょう。ペルソナは、誰もがイメージできる存在にすることが大切です。
理想や思い込みの人物像にならないようにする
ペルソナは、気を付けていても理想や思い込みの人物像になる場合があります。感情や経験といった、不確実な部分があるためです。定性的な部分に惑わされないよう、調査に基づき正確に作成することが大切です。特に仮のペルソナを設定する際は、思い込みになりやすいので注意しましょう。
見直しを行う必要がある
ペルソナは、作成して終わりではなく、定期的に修正する必要があります。作成当初だと、実際の顧客ではなく、作成側が考える顧客像に過ぎないためです。実際に商品を市場へ出してみると、想定外の需要が出てくるかもしれません。そのような場合に備え、ペルソナも定期的にアップデートする必要があります。
まとめ
ペルソナは、商品・サービスを購入してくれそうな顧客像です。開発の効率化に不可欠ですので、正確に作成しましょう。自社に最適なペルソナを作って、売上を向上させてください。